2023年07月19日
被爆の実相を残し、伝え続けます。
私はこれまで原爆の悲惨さと、誰もが自分のこととして考えさせられる家族の悲しみや痛みを伝えたいと原爆詩の朗読活動を続けてまいりました。
この度、広島市にある最大級の被爆建物「旧陸軍被服支廠(ししょう)」で詩人峠三吉の原爆詩集から『仮繃帯所にて』を朗読させていただきました。
「仮繃帯所(かりほうたいじょ)」とは戦線の後方に設置された応急救護所のことで、自らも被爆者である 峠三吉 が原爆投下直後の女学生を描いた作品です。一瞬にして肌は焼けただれ恥じることさえできない姿となり、夢も希望も奪われた女学生の苦しみを描いています。
今回朗読会にお声がけくださった土屋時子さんは「広島文学資料保全の会」代表でユネスコ世界の記憶(国際登録)に広島の被爆作家による被災直後の資料を申請し登録実現に向けて活動を続けています。「旧陸軍被服支廠」をはじめ爆心地に近い「レストハウス 」や「旧日銀広島支店」などの保存の検討が加速化する中、こうした「原爆文学」も失われつつある世界の貴重な記録遺産を守るために必要です。
私たちが今できることはこうした被爆の実相を訴える遺構や遺産を次世代に残すこと。私たちの日常生活は平和があってこそだということを「物言わぬ証人」がきっと伝え続けてくれる。私はその想いをもって、この朗読活動を続けていきたいと思っています。